変化の激しい時代の中でも変わらない、営業として大切にすべき軸とは【朝倉千恵子氏インタビュー・営業編】 人は人からモノを買う。そして、人は好きな人からモノを買う。

テクノロジーやビジネス環境が急速に進化している今の時代、営業という仕事も大きく変わっていくだろう。しかしながら、「時代が変わっても変わらない、普遍的な軸もある」と話すのは、株式会社新規開拓 代表取締役社長 朝倉千恵子氏だ。朝倉氏は、女性活躍推進が叫ばれるずっと以前の2003年に、女性の自立を支援する「トップセールスレディ育成塾」を立ち上げた。現在は、社員教育のプロとして、各種講座やセミナー等を合わせて年間数千人のセールスパーソンを育てている。そんな朝倉氏が語る、営業として普遍的な軸とは何なのだろうか。誰でもすぐに実践できる「運気を上げる方法」や、営業シーンで使える「魔法の言葉」、そして新刊についてお話を伺った。


株式会社新規開拓 代表取締役社長
「トップセールスレディ育成塾」主宰
朝倉 千恵子 氏
小学校教員を経て、35歳で人生の崖っぷちに立たされ、中途採用、営業経験ゼロからのスタートを切る。2001年独立、有限会社朝倉千恵子事務所を設立。2003年オフィスを東京・日比谷の帝国ホテルタワーに移転。2004年株式会社新規開拓を設立。現在は丸ビル(東京都千代田区)にオフィスを構える。社員教育コンサルタントとして全国を飛びまわり、自らの経験を生かした渾身の研修・講演は多くの企業から支持され、高いリピート率を誇る。
また、女性の真の自立支援、社会的地位の向上を目指した、「凛」として生きる女性のための仕事術「TSL」(「トップセールスレディ育成塾」)を主宰。卒業生は2,500名を超える。
著書は、最新刊『「だから女は」と言わせない最強の仕事術』(こう書房)をはじめ、『営業嫌いだった人が1億売る人に変わる「仕事ノート」』(プレジデント社)、『コミュニケーションの教科書』(フォレスト出版)、『すごい仕事力』(致知出版社)など多数。

「働く女性の応援団長になりたい」と、起業を決意

──朝倉さんは「トップセールスレディ育成塾(以下TSL)」を主宰されていますが、「女性限定の育成塾を作ろう」と志した理由を教えて下さい。


朝倉千恵子氏(以下、朝倉) 私が起業した一番の理由は、女性の自立支援です。「TSL」を開校した2003年当時は女性活躍推進という言葉もなく、女性営業も非常に少ない時代でした。しかし、女性が豊かになるためには、営業力を身に付けることがとても大切だと考えています。そこで、働く女性の応援団長になりたいと考え、起業したのです。ところが、“己が走る”「起業」から、“人が止(とど)まる”「企業」にするまでが大変でした。社員を採用し、オフィスを構えコンスタントに運営していくには、女性限定塾だけでは正直言って難しか
ったのです。そこで、法人企業様の教育研修も実施するようになりました。今でこそ、国策の一環として女性活躍推進が活発となり、女性の育成に力を入れる企業が増えています。しかし当時は女性社員の育成に投資をする法人企業は極めて少なく、どちらかというと男性管理職や男性営業に対する研修が多くなりました。「TSL」に企業派遣でいらっしゃる女性が増えたのは、本当にここ5年ほどですね。


――まさに、時代の先駆けだったのですね。


朝倉 少し早すぎたのかもしれませんね。「TSL」を立ち上げようと決めた時も、みんなに反対されました。しかし、今では15年続く女性限定の営業塾というのは世界に1つしかないと言われています。

運気を上げるためのポイント「口角を上げる、美姿勢、プラスの言葉」

──テクノロジーの発展など、世の中は大きく変化していますが、営業のあり方というもの変化していくものでしょうか?


朝倉 確かに15年も経つと、営業のスタイルや世界観も変化します。テクノロジーの発展もそうですし、特に日本はインバウンドに力を入れていますから、2020年にかけて外国人観光客の数は右肩上がりです。その中で、日本に居住を希望される外国人の方々、そして外国人労働者の数も増加していくでしょう。そうすると、営業のあり方も大きく変化していくと思います。しかし世の中がいくら変化したとしても、変えてはいけない軸があります。
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それは、「人は人からモノを買う」、そして「好きな人からモノを買う」ということです。特に高額商品であればあるほど、人を介してモノを買うことは今後も続くでしょう。


――確かに、ECサイトは発展していますが、住宅など高額・高付加価値のものについては、担当営業が購入決定の重大な要因になりますね。その中で、営業が大切にすべきこととは?


朝倉 ここ最近、運気を上げるために3つのポイントがあると感じました。
ひとつは、『口角が上がっている』ことです。どんなに綺麗な人でも、口角が下がっていると意地悪に見えます。ところが、口角が上がっていると明るく、表情美人になります。

もうひとつは、『美姿勢』。例えば、食事をする時も背中を丸めて食べている姿と、背筋を伸ばして食べている姿では、印象が全く違います。姿勢が良いというのは、「姿に勢いがあって良い」と書きますから、非常に大切です。


最後に、『プラスの言葉』です。相手からマイナスのことを言われても、それを受け止めてプラスに転じることができる人というのは、相手を幸せにできます。
営業で普遍的なものは、今言った『口角を上げる』『美姿勢』『プラスの言葉』という運気を上げる3つのポイント、そして挨拶の徹底、礼儀・礼節を重んじる姿勢・態度、あとは笑顔ですね。
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――なるほど、「運気を上げる3つのポイント」は、誰でもすぐにできることですね。


朝倉 こうした目に見える部分で、相手に「感じがいいな」と思っていただけたら心は開きます。逆に、「不快だ」と思われてしまったら心を閉ざしてしまいます。ですから、第一印象は軽視できません。初対面を制する人が人生を制すると言っても過言ではないのです。

クッション言葉は、魔法の言葉

──ここで取材に先かげて営業・マーケPRO-Q実施したアンケートについてお伺いします。『質問1』は次の通りです。


お客様との交渉中、商品説明の際には穏やかだった担当者の表情が、値段の話になった途端に一変。「ちょっと高いな」とポツリ。商品説明していた部下も固まってしまいました。この空気を払拭するために、あなたはどうすれば良いと思われますか?



──朝倉さんに言われたら、どれも正しい切り返し思えます。この質問で問いたいポイントはどこにあるのでしょうか?


朝倉 それは、お客様からマイナスの言葉や断り文句を言われた時、切り返しのトークで大切な「クッション言葉」です。


――クッション言葉とは?


朝倉 回答が多い(66%)、「高いと思う根拠を聞きだす」が正しい選択肢なのですが、そのままではベストな言い方ではありません。例えば、お客様から「高いよね」と言われた時、次の2つの切り返し方では、どちらの印象が良いでしょうか?

A「どちらの商品と比較して高いと思われましたか?」

B「率直なご意見をありがとうございます。○○様、どちらの商品と比較して高いと思われましたか?」


――Bの方が圧倒的に印象が良いです。Aの方は、質問に質問でかぶせられたように感じます。


朝倉 この「率直なご意見ありがとうございます」の部分がクッション言葉です。これは魔法の言葉で、あるかないかでまったく印象が異なります。

ここでもう1つ大切なのが、お客様の断り文句を否定しないことです。「確かに高いです。しかし……」というYes but法も悪くはないのですが、使い方を間違えるとお客様は否定されたと感じてしまわれます。相手の言うことを否定せず、クッション言葉で受け止めて、質問で切り返す。これによって、会話のキャッチボールが成り立つのです。

また、質問で切り返すといっても、良い質問と悪い質問があります。
「効果がない」と言われた時に、「なぜ効果がないと思いましたか?」と聞いてしまえば、効果がない理由が掘り下げられます。そうすると、話せば話すほどマイナス面がクローズアップされて「やはりいらない」となります。

良い質問というのは、プラスでメリットになるような肯定的な質問です。
「効果がない」に対して「なぜ高いと思いましたか?」ではなく、まずは「言いにくいことをお話頂きありがとうございます」とクッション言葉を置いて、その後に「○○様、具体的にどのような効果をお望みでしたか?」と、相手のニーズを引き出します。その上で、「ありがとうございます。今おっしゃっていただいた部分が改善された新商品があるのですが、ぜひ一度お試しいただけませんか?」と踏み込むのです。そうすると、会話のキャッチボールが成り立ちます。小さな「イエス」を沢山重ねていくがゆえに、相手も納得の上で話が前に進んでいきます。ですから、最終的には無理やり買わされた、ではなく、「買えてよかった」となるのです。これは、トラブルにもクレームにもなりません。


――なるほど。受け止めて、否定せずに切り返し、相手のプラスになるような方向に話を展開していくのですね。この時、他に注意すべきポイントはありますか?


朝倉 話し方の技術ですね。顎が上がっていると生意気そうに見えますし、背中が曲がって上目遣いになってしまうと自信がなさそうに見えます。ですから、背筋をピンと伸ばして、相手の方向に正対して、上体前のめりでお顔ごと見る。間の取り方、表情、姿勢、目線に気を付ければ、誰でも売れるようになります。私は、営業ほど簡単な仕事はないと思います。資格も、特別なスキルも必要ありません。
そして、営業ほど面白い仕事もないと思います。相手を
大事にすれば、相手からも大事にされます。これは、人間関係全般同じです。

働く女性たちのバイブルとなるような、新著を出版

──これまで朝倉さんは、36冊の書籍を出版されています。2019年5月に新刊『仕事も人生もうまくいっている女性の考え方』を上梓されると伺いました。この本は、どんな方にオススメですか?


朝倉 2017年に出版した「『だから女は』と言わせない最強の仕事術」をリバイバルするものです。この書籍のテーマは、「IQ×愛嬌=最強」。どんなにIQが高くても、愛嬌がなければ愛されません。逆に、愛嬌だけでは飽きられてしまいます。ウーマンではなくヒューマンとしてプロの仕事人として認められよう、ということを書いています。今回は、これをタイトルや装丁を変えて、中身も加筆して、20代30代の働く女性たちのバイブルになるような内容にしています。ぜひ、手に取っていただきたいと思っています。



『だから女は』と言わせない最強の仕事術
朝倉 千恵子(著)
こう書房刊
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――「営業マネジメント編」に続く~

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プロフィールPROFILE

株式会社新規開拓 代表取締役社長 朝倉千恵子(あさくら ちえこ)

小学校教員を経て、35歳で人生の崖っぷちに立たされ、中途採用、営業経験ゼロからのスタートを切る。 2001年独立、有限会社朝倉千恵子事務所を設立。 03年オフィスを東京・日比谷の帝国ホテルタワーに移転。 04年株式会社新規開拓を設立。現在は丸ビル(東京都千代田区)にオフィスを構える。社員教育コンサルタントとして全国を飛びまわり、自らの経験を生かした渾身の研修・講演は多くの企業から支持され、高いリピート率を誇る。 また、女性の真の自立支援、社会的地位の向上を目指した「凛」として生きる女性のための仕事術TSL(「トップセールスレディ育成塾」)を主宰。卒業生は2,500名を超える。 著書は、最新刊『「だから女は」と言わせない最強の仕事術』(こう書房)をはじめ、『営業嫌いだった人が1億売る人に変わる「仕事ノート」』(プレジデント社)、『コミュニケーションの教科書』(フォレスト出版)、『すごい仕事力』(致知出版社)など多数。講演内容: 「勝ち残る企業の人財育成~企業ブランドは社員がつくる~」「21世紀 ステキに輝く女性のために」 等
TSL専用サイトhttp://www.asakurachieko.com/
ブログ「朝倉千恵子の 向き不向きより前向き」https://www.shinkikaitaku.jp/seminar/tsl_company/
株式会社新規開拓http://www.shinkikaitaku.jp/

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