島根県松江市と日本ユニシスが国内初の取り組み。AIとIoT技術を活用した観光マーケティングの実証実験を開始

島根県松江市と日本ユニシス株式会社は、2018年8月29日よりAIで統合された地域データとIoT技術を活用し、観光施策の立案を支援する実証実験を開始した。

松江市は、国宝松江城や宍道湖、松江歴史館などの豊かな観光資源を有している。これまでも同市に関係する統計データや統計関連図書の情報のオープンデータ化や、「松江G空間ミュージアム※1」の開設など、データを活用した地域活性化の先進的な取り組みを推進してきた。

一方、日本ユニシスの研究開発部門である日本ユニシス総合技術研究所も、「幸福度ランキング※2」や美術館の来館者分析といった、地域の⾒える化に取り組んできた。

従来行われてきた自治体などの観光マーケティングでは、観光スポットの来客データや観光客へのアンケート等を分析し、施策の⽴案を行ってきた。しかし、一般企業や個⼈などから Web で発信されている観光情報のようなデータは、構造や表記などが多様なため、統合して扱うことが困難であった。

本実証実験では、SNSや店舗のホームページ等はもちろん、“人の流れ”などこれまで取れなかったデータの採取を、IoTを利用して行い、それらを統合した上で、分析・活用できる形に変換。現状把握の精度向上、実施した観光施策の効果測定、観光スポットの来場予測に有効であることを検証する。

変換には AIを活用しており、収集されたデータのデータ構造や単語表記の自動的な統合を実施している。今回はそれら変換されたデータを、データ分析者が分析して、施策⽴案者に提供する。具体的には、以下のような分析を想定しているという。

1)集約した地域データを、Webアプリケーション(以下、アプリ)にて地図情報と合わせて観光客にワンストップで提供。アプリは観光客の松江観光を支援するだけでなく、利用者の位置や参照した情報を収集することで、観光客の動向把握や施策の効果を測定する。
2)集約した観光情報と、「⼈流解析サービス JINRYU※3」で収集・解析した松江歴史館来場者数および来場者の年齢、性別、動線情報から、松江歴史館の来場者予測に寄与する相関関係を求める。

今後、松江市と日本ユニシスは、本実証実験を通じて得られた知⾒を基に、地域データの収集・活用と施策の効果測定を円滑に実⾏できる仕組みをつくり、データに基づく観光マーケティングの継続した実施を目指すという。

また、日本政府提唱のSociety5.0や官⺠データ活用推進基本法が示すように、自治体のオープンデータだけでなく、一般企業や個⼈から公開されたデータや IoT によって得られたデータを分野・業界を横断的に組み合わせ、施策⽴案や機会創出へ活用することも期待される。観光分野のみならず、防災や少子化などの社会課題にも、本実証実験によって得られた知⾒の活用が可能だという。

※1:松江G空間ミュージアム=古地図、絵図、写真など地域の古い資料をデジタルアーカイブし、歴史資料の新たな活用モデルの構築を目指すプロジェクト。
※2:同研究所が協⼒する「全47都道府県幸福度ランキング」は、地域の幸福度を測るため最⼤65の指標で47都道府県、20政令指定都市および42中核市を対象として分析、ランキングを算出している。
※3:⼈流解析サービス「JINRYU」=撮影された映像上の⼈物や顔を、カメラに接続した小型コンピュータ上で認識し、その⼈物の動線や、顔から推定した年齢・性別の情報を可視化・分析するクラウドサービス。

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