上々企業が強化したい広報力は「戦略構築力」。『第3回企業広報力調査』結果発表

企業広報戦略研究所(株式会社電通パブリックリレーションズ内の研究組織)は、2018年2〜4月、上場企業の広報担当責任者を対象に、日本企業における広報活動の実態と課題に関する調査を実施。その結果を独自の指標である「広報オクトパスモデル」で分析した。有効回答サンプル数は518社(前回調査:533社)。
なお、「企業広報力調査」における8つの広報力とは「情報収集力」、「情報分析力」、「戦略構築力」、「情報創造力」、「情報発信力」、「関係構築力」、「危機管理力」、「広報組織力」で構成され、同研究所ではこれを「広報オクトパスモデル」と呼んでいる。


■「広報オクトパスモデル」前回調査(2016年実施)との比較
(左数値は前回のもの。カッコ内は増減。※印は四捨五入の関係で端数が異なる)

・情報発信力…52.7点→56.9点(+4.2)
・情報収集力…43.4点→45.7点(+2.4)
・広報組織力…34.4点→41.3点(+6.9)
・情報分析力…27.7点→33.1点(+5.3)
・危機管理力…27.6点→32.6点(+5.0)
・情報創造力…26.0点→28.9点(+3.0)※
・関係構築力…23.3点→28.5点(+5.2)
・戦略構築力…26.0点→27.7点(+1.6)※

2018年の結果では、8つの広報力全てが2016年比で伸長しており、年々広報活動の重要性が増し、活性化している様子が見られる。

2018年調査の各広報力の順位は、「情報発信力」(56.9点)、「情報収集力」(45.7点)、「広報組織力」(41.3点)で、これまでの調査結果と同様に、「情報を収集して発信する」という広報の基本となる活動がメインである傾向は変わっていないが、今回は特に、その他の広報力が強化される結果となった。

前回調査(2016年実施)と比べると、「広報オクトパスモデル」8つの広報力のうち、広報活動の土台ともいうべき「広報組織力」と「危機管理力」がそれぞれ+6.9点、+5.0点と高い伸びを示している。また、前回最も低いスコアだった「関係構築力」が+5.2点と強化され、「情報分析力」も+5.3点と伸長した。

組織全体としていかに正確な情報を集約し伝えるかという、昨今の情報環境変化に対応するために、これまでの広報活動のメインだった「情報を収集して発信する」活動に加え、「組織全体として広報を意識したリスク予測/予防(防御)をする」と「正確な情報を確実に伝える」活動も強化されていることが分かった。

■「重要なステークホルダー」について

前回調査と比べると、「就活生・学生」が+18.4点と最も伸長している。他に「メディア」が+8.9点、「ソーシャルメディア利用者」が+5.6点、また前回最も伸長していた「従業員とその家族」は今回も+4.9ポイント伸長した。

■「広報担当部署の業務テーマ」について

前回調査比で、「経営戦略・事業戦略」が+16.8点、「リクルーティング」が+16.5点、「CSR」が+10.6点といずれも10ポイント以上増加した。

ステークホルダーの多様化がより一層進むことに伴い、広報担当の業務テーマも広がっており、組織のあらゆる活動における広報の重要性が年々増していると考えられる。

■今後強化したい広報力について(数値は重視度)

1位:戦略構築力…17.1%
2位:情報創造力…16.6%
3位:危機管理力…14.1%
4位:情報分析力…11.9%
5位:広報組織力…11.4%
6位:情報発信力…10.6%
7位:情報収集力…10.2%
8位:関係構築力…8.3%

今後強化したい広報活動について、「広報オクトパスモデル」が示す8つの広報力でみると、最も強化したい広報力が「戦略構築力」、次いで「情報創造力」、「危機管理力」となっており、最も低かったのが「関係構築力」だった。

■今後強化したい広報活動上位3項目

1位:中・長期的広報戦略・広報計画を作成している(48.1%)
2位:広報戦略に沿ったPR・メッセージを策定している(43.6%)
3位:広報戦略は、経営戦略とリンクしている(42.1%)

8つの広報力を細分化した80の広報活動の中で、今後最も強化したい活動は「中・長期的広報戦略・広報計画を作成している」であった。次いで「広報戦略に沿ったPRメッセージ・ストーリーを策定している」、「広報戦略は、経営戦略とリンクしている」が続いた。

今後強化したい広報力・広報活動、どちらにおいても前回調査(2016年)から大きな変化はなく、依然として『戦略・企画フェーズ』(戦略構築力、情報創造力)を課題とし、強化したいと考える企業が多いことが分かった。

これら分析結果を受け、同研究所の黒田明彦主席研究員は次ように述べている。

「今回の調査を通じて、企業の広報活動が経営課題に対する解決手法としてその重要度を増していることが明確になりました。働き方改革、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)、コンプライアンスといった社会からの要請に対して、企業は誰に向けて何を語るのか、経営の本音を広報活動によって明らかにする時代が到来しています。」

(参考)
「広報オクトパスモデル」8つの広報力
・情報収集力…自社や業界・競合に対するメディアの評判や、ステークホルダーの動静などについて収集・把握する能力
・情報分析力…収集した情報に基づき、自社の経営課題・広報課題を洞察する力と、それを組織的に共有する能力
・戦略構築力…経営課題に対応する広報戦略の構築と、ステークホルダー別の目標管理、見直しを組織的に実行する能力
・情報創造力…ステークホルダーの認知・理解・共感を得るために、メディア特性に合わせたメッセージやビジュアルなどを開発する能力
・情報発信力…マスメディアや自社メディア、ソーシャルメディアなどさまざまな情報発信手法を複合的にタイムリーに駆使する能力
・関係構築力…重要なステークホルダーと、相互の理解・信頼関係を恒常的に高めるための活動と、実行する組織能力
・危機管理力…自社をとりまくリスクの予測・予防や緊急事態に対応するスキルを維持・向上する組織能力
・広報組織力…経営活動と広報活動を一体的に行うための意思決定の仕組み、会議体、システム整備などの水準

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